BLOG

スタッフブログ 2025.08.26

「北向きの家が人気」は本当?猛暑とヒートショックから考える、本当に快適な家づくり

猛暑で、ネットにもこんな記事が。

今年の夏も厳しい暑さが続いていますね。「少しでも涼しい家に住みたい」という思いからか、最近「暑すぎて『北向き住宅』の人気上昇」といったネット記事(画像参照)を目にする機会が増えました。

この記事は、日当たりが良すぎることがかえって不快につながるという視点で書かれています。しかし、私たち家づくりのプロから見ると、家の快適性を「方角」だけで判断してしまうのは、少しもったいないだけでなく、大きな健康リスクを見過ごしてしまう可能性もあるのです。

今回は、このネット記事をきっかけに、本当に快適で健康的な家とは何かを、データも交えながら解説していきます。

夏の暑さ、本当の原因は「南の窓」だけじゃない

「南向きの家は夏、暑いのでは?」と思われるかもしれませんが、実はそうとも限りません。

上のの図をご覧ください。これは、太陽の光を上手にコントロールして快適な室温を保つ「パッシブ設計」という考え方の基本です。

夏、太陽は非常に高い位置から照りつけます(図のSUMMER、太陽高度は約78°)。そのため、南側の窓からの日差しは、軒(のき)や庇(ひさし)を少し出すだけで、効果的に遮ることができるのです。

むしろ、夏の室内を暑くする主な原因は、太陽高度が低い朝や夕方に真横から差し込んでくる「東西面の窓からの日差し」や、「屋根からの熱」 なのです。

夏至はほとんどの日射が水平面(真上方向)、次に東西面で、南面は太陽の角度があるため非常に少なくなります。つまり、夏の涼しさを追求するなら、「南向きを避ける」ことよりも**「東西の日差しをどう遮るか」「屋根や壁の断熱をしっかり行うか」**の方がはるかに重要になります。

見過ごされがちな「冬の暖かさ」と健康リスク

そして、もう一つ非常に大切な視点が「冬の快適性」です。今年の猛暑で冬の寒さは忘れがちですが、健康に与える影響は深刻です。

先ほどの図をもう一度見てみましょう。冬の太陽は、夏とは逆に低い角度(図のWINTER、太陽高度は約30°)から差し込みます。これは、南側に大きな窓があれば、室内の奥まで太陽の暖かい光をたっぷりと取り込めることを意味します。この自然のエネルギー(日射取得)は、暖房に頼りすぎず、足元からポカポカと暖かい快適な室内環境をつくる上で、非常に重要な要素となります。

ところが、もし南向きの窓がない家を選んでしまうと、この冬の貴重な暖かさを得ることができず、寒くて暖房費のかかる家になってしまうかもしれません。

香川県は要注意!冬の寒さが引き起こす「ヒートショック」

「冬の寒さくらい、厚着すれば大丈夫」と思われるでしょうか。しかし、事態はもっと深刻です。WHO(世界保健機関)は、健康を維持するために**「冬の室温を18℃以上に保つこと」を強く勧告**しています。

室温がこれを下回ると、血圧の上昇や循環器系への負担が増え、ヒートショック(急激な温度変化によって身体がダメージを受けること)による心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まることが分かっています。

こちらのデータをご覧ください。香川県は、冬のリビングの平均室温が13℃と、WHOの勧告値を大幅に下回っています。そして残念なことに、過去には浴室での心肺停止件数が全国ワースト1位(2011年調査)になったこともあるのです。

これは、断熱性能が不十分な家が多いことと無関係ではありません。断熱性が低い家では、暖房しているリビングと、暖房していない廊下や浴室との温度差が非常に大きくなり、ヒートショックのリスクが格段に高まります。

実際に、断熱住宅の普及率が低い地域ほど、冬場の死亡増加率が高いという相関関係も指摘されています。

まとめ:本当に選ぶべきは「方角」ではなく「断熱性能」の高い家

ネット記事が指摘するように、現代の家づくりにおいて夏の暑さ対策が重要であることは間違いありません。しかし、その対策は「南向きを避ける」といった単純な話ではないのです。

本当に快適で健康な暮らしを実現するためには、

  • 【夏】 軒や庇で南からの高い日差しを遮り(日射遮蔽)、東西からの低い日差しにも配慮する。
  • 【冬】 南からの低い日差しを室内に取り込み、暖かさを確保する(日射取得)。
  • 【通年】 魔法瓶のように、外の暑さ・寒さの影響を受けにくく、中の快適な温度を逃がさない**「高断熱・高気密」**な性能を持つこと。

これらの要素をバランス良く設計することが何よりも大切です。

日本では、特に既存の住宅において、まだまだ断熱性能が不十分な家が多いのが現状です。だからこそ、私たちは家づくりに携わるプロとして、一棟でも多く、夏は涼しく冬は暖かい、一年を通して家族が健康に暮らせる家をこの地域にご提案していくことが使命だと考えています。

家づくりは、一生に一度の大きな買い物です。目先の情報やイメージだけでなく、夏も冬も、そして何十年先も快適に暮らせる本質的な性能に着目して、家選びを進めていただければ幸いです。

井坂工務店では、断熱性能や設計の工夫について、いつでもご相談を承っております。お気軽にお声がけください。

香川県高松市で
高気密高断熱な木の家を建てるなら

株式会社 井坂工務店へ

〒761-0321 香川県高松市前田西町935-15

Tel.087-847-3331

受付時間:9時〜18時(不定休)

施工エリア

香川県を主な施工範囲としていますが、エリア外も是非ご相談ください。
高松市/さぬき市/木田郡三木町/東かがわ市/綾歌郡綾川町・宇多津町/坂出市/丸亀市/仲多度郡琴平町・まんのう町・多度津町/善通寺市/三豊市/観音寺市

施工事例

Blog

Contact

注文住宅・リフォーム・リノベーションのお問合せはこちらから。

Tel.087-847-3331

受付時間:9時〜18時(不定休)