井坂工務店、専務で設計営業の井坂です。
家づくりをご検討中のお客様と間取りや仕様の打ち合わせをしていると、必ずと言っていいほどいただく質問があります。
「『断熱等級6』とか『高気密・高断熱』って、建築費用を上げてまでやる価値は本当にあるの?」
「家中を夏も冬も24時間エアコンつけっぱなしで、電気代の請求書を見るのが怖すぎませんか?」
「高断熱だから省エネですよ」とカタログの数値を見せられても、机上の計算だけではなかなか信じ切れませんよね。
そこで今回は、私自身が妻と子ども2人と実際に暮らし、モデルハウスとしても公開している「リアルな我が家」の数年間にわたる電力データで検証してみたいと思います!
まずは、我が家のスペックをご紹介します。
- 所在地:香川県高松市(省エネ地域区分:6地域)
- 延床面積:37坪(木造2階建て・中二階に子ども部屋がある設計)
- 断熱性能:UA値 0.33(HEAT20 G2+水準・断熱等級6+レベル)
- 気密性能:C値 0.27(家全体の隙間を集めても名刺半分以下の超高気密)
- 太陽光発電:6.15 kW 搭載(2025年5月設置)
- 空調スタイル:6月〜9月(夏)と12月〜4月(冬)の年間約計9ヶ月間くらいは、エアコン1台を24時間つけっぱなし運転
「エアコンをこまめに消す」「設定温度を我慢する」といった節電は一切していません。
玄関を開けた瞬間から、廊下、お風呂の脱衣所、トイレ、2階や中二階の寝室まで、24時間快適な状態で暮らしました。
ここで、快適についてですが非常にあいまいで個人差があったりします。
■ エアコンの設定温度だけでは「快適」になれない理由(PMVという国際基準)
PMV(Predicted Mean Vote)とは、“平均予想温冷感申告“と訳され、人がどれくらい快適かを表す指標で、温度、湿度、放射温度、気流速、着衣量、活動量の6つの要素から算出されます。
PMVの固定条件
・気温と放射温度は同じ値と想定
・気流速:0.15m/s(室内を想定)で固定
・着衣量:夏0.5clo(長袖シャツ&長スボン)、冬1.0clo(長スボン&ジャケット)
・活動量:1Met(着座)で固定
「エアコンを27℃にしているのに、なんだか蒸し暑い…」
「冬に暖房を24℃に上げているのに、足元がスースーして寒い…」
こんな経験はありませんか?
実は、人が「心地よい」と感じる快適さは、エアコンのリモコンに表示される「室温」だけでは決まりません。
建築・温熱環境の世界には、国際標準化機構(ISO 7730)で定められた『PMV(予測平均温冷感申告)』という快適性指標があります。
人間が感じる暑さ・寒さは、以下の「6つの要素」が掛け合わさって初めて決まります。
- 気温(室温)
- 放射温度(床・壁・天井の表面温度)
- 湿度(空気中の水分量)
- 気流(風速)
- 着衣量(服の厚み)
- 活動量(じっとしているか、動いているか)

極端に温かかったり、寒かったりではなく多くの方が快適に感じる環境

■ 「断熱等級6+・超高気密」だからこそ入れる「快適温湿度ゾーン」
上のグラフをご覧ください。
中央のオレンジ色の領域が、人間が「暑くも寒くもなく、最も快適」と感じる【快適温湿度ゾーン(PMV ±0.5以内)】です。
- 夏の目標:室温 27.5℃〜28.0℃ / 湿度 50%前後
- 冬の目標:室温 21.8℃〜22.3℃ / 湿度 50%前後
このわずかなスイートスポットに温湿度をコントロールし続けることは、普通の断熱性能の家ではまず不可能です。なぜなら、隙間風や壁・窓からの熱侵入・熱ロスが激しいためです。
我が家が夏冬24時間エアコンをつけっぱなしにしている最大の目的は、「家全体をこのオレンジ色のゾーンから外に出さないこと」にあります。
■ 「絶対湿度」で見張る!カビ・ダニ・ウイルスのデッドゾーン
さらに重要なのが、グラフの上下左右に広がる「健康被害ゾーン」です。
- 右上の危険ゾーン(高温・高湿)
- 相対湿度が60%〜70%を超えると、「ダニ」「カビ」の繁殖スピードが一気に跳ね上がります。
- これがアレルギーや小児喘息、家の構造材を腐らせる原因になります。
- 右下の危険ゾーン(低温・乾燥)
- 冬場に空気が乾燥し、空気中の水分量(絶対湿度)が7g/㎥を下回ると「インフルエンザウイルス警戒ゾーン」に突入します。
- 喉や鼻の粘膜のバリア機能が低下し、ウイルスが空気中に長時間漂うため感染リスクが激増します。
快適性についての話が長くなりましたので、次回からデータを基に検証を始めたいと思います。


