前回のBLOGでウッドロングエコと言う、木材保護保持剤についてお話ししました。
木の外壁が風合いがあり、長持ちすることに少し触れましたが、ここでもう少しくわしく書きたいと思います。
木材に限らず外壁のメンテナンスは気になる所かと思います。どの外壁材も建てられた立地条件や壁の通気、方位、軒の有無などによって変わってきます。
木の外壁を使った時にどのような症状の劣化があるかと言うと、腐ったり、コケやカビが生えたり、割れたりなどが考えられます。
その中の腐るという部分で考えていくと、ある条件がそろった時に腐朽菌が増殖し腐りだすことが分かっています。
腐朽菌は4つの条件がそろうと増殖してきます。温度、水分、空気、栄養分です。この4つの条件うち
1つでも欠ければ木材腐朽菌は活性化しません。
温度や空気は生活空間に必要不可欠で管理や制御するのは難しいです。栄養分も木材の主成分であるためなくすことはできません。
最後に残った水分の管理が腐朽菌対策に非常に重要になります。
つまり、木を濡れにくくする、濡れても乾きやすくすることが重要なのです。外壁に使う場合で考えた時、軒の出を深くすることや、しっかり通気できる作り方にすることが大切と言う事です。
こんな感じですべての外壁面に対して軒が深く取れている平屋なんかだと雨がかりが足元位になり、影響が一番少なくなると思います。
ただ実際は、二階建てであったり、切妻屋根や片流れ屋根であったりしてなかなか軒だけでは外壁の雨がかりを防ぐのは難しいです。
最終的にはシルバーグレーになっていくのですが、経過途中で軒の出によって雨のかかり方や日差しのあたり方が変わってくるので、色合いに変化がでてきます。
こういった場合、軒をなくすこともあります。
以前ご紹介した、秋田の西方設計さんの建物です。30年位経過した杉板の外壁です。
軒を出しても外壁を濡らさないようにするには限界があります。このように、軒を出さずに外壁の色合いは一定に変化していく状態にすることもあります。その上で水分を管理する必要があります。
では、どうするかと言うと、水分をコントロールするために、濡れた外壁がよく乾くように貼ってあげるのです。
もっとも通気が取れて乾きやすい張り方が「ファサードラタン」です。海外でもよく行われている張り方ですが、スノコ状に間を空けて板を貼る方法です。
このようにスノコ状に間を空けて張ることで木が十分乾燥できる状態を確保してあげるのです。
雨が中に入る心配をさせる方もいるかもしれませんが、もちろん大丈夫。
専用の、ファサードラタン用高耐久透湿防水シートを使用します。ドイツのWURTH製 ウートップサーモファサードを使用。防水シート自体が風雨にさらされることを前提に、高い防水性、防風性を確保した商品です。
近年、外壁に使う透湿防水シートの劣化が問題になっています。問題の原因の一つが界面活性剤による防水・耐久性の低下です。この界面活性剤は防蟻薬剤や防腐処理された木材等に含まれており、これらから染み出してきた界面活性剤がシートの防水性能を劣化させるリスクが指摘されています。
WURTH製のシートはそのような劣化がおこらず、性能試験において80年相当の耐久性能も確認されています。また、無地のブラック色で、木の隙間から見えてもきれいで意匠性にも優れています。
材料を知り、どのように製材の良さを生かし使うかが大切です。地元香川に長く住み継がれる家が少しでも増えていくように地域工務店としていろいろとご提案していきたいと思います。