前回は、快適さについての定義について触れさせていただきましたので、
今回は実際の消費電力データを見ながらいろいろと検証していきたいと思います。
まずは、我が家のスペックのおさらいです。
- 所在地:香川県高松市(省エネ地域区分:6地域)
- 延床面積:37坪(木造2階建て・中二階に子ども部屋がある設計)
- 断熱性能:UA値 0.33(HEAT20 G2+水準・断熱等級6+レベル)
- 気密性能:C値 0.27(家全体の隙間を集めても名刺半分以下の超高気密)
- 太陽光発電:6.15 kW 搭載(2025年5月設置)
- 空調スタイル:6月〜9月(夏)と12月〜4月(冬)の年間約計9ヶ月間くらいは、エアコン1台を24時間つけっぱなし運転
「エアコンをこまめに消す」「設定温度を我慢する」といった節電は一切していません。
【直近1年の実測】年間実質光熱費は月平均「約1,000円」
まずは、太陽光発電(6.15kW)を稼働させてからの1年間(2025年6月〜2026年5月)の、四国電力からのリアルな検針・売電データをまとめた表をご覧ください。
| 検針年月 | 買電量 | 売電量 | 電気代請求額 | 売電収入 | 実質負担額 |
| 2025年6月 | 289 kWh | 593 kWh | 8,633 円 | 9,488 円 | ▲855 円(黒字) |
| 2025年7月 | 299 kWh | 614 kWh | 7,951 円 | 9,824 円 | ▲1,873 円(黒字) |
| 2025年8月 | 364 kWh | 889 kWh | 10,197 円 | 14,224 円 | ▲4,027 円(黒字) |
| 2025年9月 | 326 kWh | 615 kWh | 7,911 円 | 9,840 円 | ▲1,929 円(黒字) |
| 2025年10月 | 322 kWh | 558 kWh | 8,963 円 | 8,928 円 | +35 円 |
| 2025年11月 | 361 kWh | 572 kWh | 11,524 円 | 9,152 円 | +2,372 円 |
| 2025年12月 | 365 kWh | 446 kWh | 11,503 円 | 7,136 円 | +4,367 円 |
| 2026年1月 | 627 kWh | 517 kWh | 18,454 円 | 8,272 円 | +10,182 円 |
| 2026年2月 | 546 kWh | 513 kWh | 13,706 円 | 8,208 円 | +5,498 円 |
| 2026年3月 | 428 kWh | 519 kWh | 9,946 円 | 8,304 円 | +1,642 円 |
| 2026年4月 | 379 kWh | 735 kWh | 11,142 円 | 11,760 円 | ▲618 円(黒字) |
| 2026年5月 | 298 kWh | 756 kWh | 10,107 円 | 12,096 円 | ▲1,989 円(黒字) |
| 【年間合計】 | 4,604 kWh | 7,327 kWh | 130,037 円 | 117,232 円 | 実質 12,805 円/年 |
年間で四国電力に支払った電気代が約13万円。
それに対し、屋根の太陽光が稼ぎ出した売電収入が約11.7万円。
差し引きすると、年間たったの「12,805円」の持ち出し(月平均 約1,000円)で、4人家族の冷暖房・給湯・調理・家電すべてのエネルギーが賄えてしまいました。
しかも、真夏の7月・8月に昼間(9:00〜17:00)買った電気は月わずか「3 kWh」。一番エアコンを効かせたい真夏の日中は、ほぼ100%タダの太陽光発電で家中を冷やしていたことになります。
太陽光発電の恩恵を除いた断熱性能の影響は⁈
太陽光なし(過去6年間)のデータをすべて分解してみました
我が家は2025年5月に太陽光を載せるまで、約6年間「太陽光なし(純粋な建物の性能だけ)」で暮らしていました。
その間の年間電力使用量は、毎年安定して約6,600〜7,000 kWhでした。
四国電力のオール電化世帯のモデル試算から、一般的なオール電化住宅で約7,000〜7,200kWh程度になるケースが多いとされています。
「あまり変わらないじゃないか」と思われるかもしれません。
しかし、電気の使い道の「内訳」をもう少し分析してみるとまた違って見えてきます。
オール電化住宅の電気消費は、大きく2つに分かれます。
- 【生活基礎電力】:給湯(エコキュート)、IH調理、冷蔵庫、照明、洗濯乾燥機、テレビなど (特に我が家は、奥さんが料理が得意で調理での使用量が多いと思われます。)
- 【空調電力】:冷暖房(エアコン)の電気
冷暖房を一切使わない中間期(6月や10月)の実測値から生活基礎電力を差し引いて、我が家が「年間9ヶ月間、家中24時間エアコンをつけっぱなしにして消費した冷暖房だけの電力」を逆算しました。
- 2019年 空調消費量:約 1,780 kWh
- 2020年 空調消費量:約 1,620 kWh
- 2021年 空調消費量:約 1,490 kWh
- 2022年 空調消費量:約 2,110 kWh
- 2023年 空調消費量:約 1,690 kWh
- 2024年 空調消費量:約 1,430 kWh
37坪の家全体を夏も冬も24時間つけっぱなしにして使った冷暖房の年間の電力消費量が「1,600〜1,800 kWh程度」に抑えられているです!
「年間1,600〜1,800kWh」という空調消費量(延床37坪・約122㎡で年間約13.9 kWh/㎡)は、建築業界の専門基準と比べても極めて優秀なポジションにいます。
Geminiでの各性能水準での目安数値を出してみました。
| 住宅の性能水準 | 年間空調電力量 | ㎡辺り |
|---|---|---|
| 現行省エネ基準相当 | 2,500〜4,900 kWh | 20〜40 kWh/㎡ |
| ZEH水準・等級5相当 | 1,500〜3,700 kWh | 12〜30 kWh/㎡ |
| HEAT20 G1相当 | 1,200〜3,100 kWh | 10〜25 kWh/㎡ |
| HEAT20 G2相当 | 850〜2,450 kWh | 7〜20 kWh/㎡ |
| HEAT20 G3相当 | 600〜1,850 kWh | 5〜15 kWh/㎡ |
| パッシブハウス相当 | 730〜1,470 kWh | 6〜12 kWh/㎡程度 |
【比較データに関する算出条件と注釈】
- ※1 井坂工務店の数値:延床面積37坪(122.3㎡)・4人家族の実測データ(2019〜2024年)より、中間期(6月・10月)の生活基礎電力(給湯・照明・家電等)を基準として差し引いた「冷暖房(エアコン)の実質消費電力」です。
- ※2 国・各団体の基準値:延床面積約120㎡・6地域(香川県等)の標準モデルを前提に、建築物省エネ法基準および各団体(HEAT20・パッシブハウス研究所)が公表する年間冷暖房負荷・一次エネルギー基準値から、高効率エアコン(期間APF/COP=約4.0〜4.5相当)で冷暖房を行った場合の消費電力量(kWh)として統一換算した試算値です。
- ※3 運転方式の違い:国の省エネ基準およびZEH基準は「人がいる部屋だけをつける居室間欠運転」を前提とした計算値です。一方、HEAT20・パッシブハウスおよび井坂工務店の実測値は「家全体を連続空調する温熱環境」を前提としています。
日本の温熱環境の基準である「HEAT20」のG2基準(等級6)をクリアしているのはもちろん、空調に関する消費電力量を大幅に抑えられていることが分かります。
消費電力量の低下以上に暮らしを変えた「快適性と健康」のメリット
お金が浮くこと以上に、住まい手として、そして設計者として心底感動したのは「家族の暮らしと健康の劇的な変化」でした。
家の中に「不快な場所」が1ミリもない
- 朝起きた瞬間から、外から帰宅した時から、家中が快適な空間。「寒くて布団から出られない」という冬のストレスが人生から完全に消え去りました。
- 熱気がこもりやすい中二階でも、1階リビングとの温度差はわずか1~2℃以内。どこにいても快適に勉強や遊びに集中できます。
温度差の少ない環境は「医療費」という見えないコストの削減にもつながります
医学的にも証明されていますが、高断熱住宅に住むと家族の身体に大きな変化が起こります。
- 結露がなくなり、カビやダニの温床が消滅。小児喘息やアトピーの改善率が60%を超えるという公的調査データもあります。
- 冬の脱衣所・トイレとリビングの温度差がなくなるため、命に関わる「ヒートショック(血管事故)」のリスクを根本からシャットアウトできます。
- 家族みんなが風邪をひきにくくなり、病院通いや薬代が劇的に減りました。

家を建てた後に「絶対に変えられないもの」は何ですか?
キッチンやお風呂の設備、壁紙や外壁は、10年後・15年後にリフォームでいくらでも最新のものに取り替えることができます。
しかし、「建物の断熱材」と「気密性能」だけは、壁や床をすべて壊さない限り、後から変えることができません。
建築時に少しの予算を惜しんで断熱性能を落としてしまうと、その後何十年にもわたって「毎月の高い電気代」を払い続け、「寒さ・暑さ・結露」に耐え続けなければならなくなります。
- 毎月浮いた電気代で、家族旅行に行ける。
- 家中が快適だから、家族みんなが健康で笑顔でいられる。
工務店として断熱等級や気密数値の話ばかりしていると、「性能オタクのこだわり」のように聞こえるかもしれません。
でも、私が本当に届けたいのはUA値やC値という数字そのものではなく、「その先にある家族の穏やかな毎日」です。
- 冬の夜中、布団を蹴飛ばして寝ている子どもに、慌てて毛布をかけ直す必要がない安心感。
- 真冬の早朝、誰よりも早起きしてお弁当をつくるお母さんの足元が、ポカポカと暖かい幸せ。
- 家族みんなが風邪をひかなくなり、病院へ通う回数が目に見えて減っていく日常。
「家中がいつでも春のように心地よい」という環境は、思っている以上に家族のイライラをなくし、笑顔の時間を増やしてくれます。
建築時にかける少しの断熱費用は、35年以上の光熱費削減だけでなく、「家族の健康と笑顔を守る一番確実な保険」として、何倍にもなって返ってきます。
「百聞は一見にしかず」、ぜひスリッパを脱いで遊びにいらしてください
言葉やデータでどれだけお伝えしても、家全体の温度と湿度がピタッと整った空間の「空気の澄み具合」だけは、実際にその場に身を置いてみないとお伝えできません。
私の自宅兼モデルハウスは、豪華絢爛な展示場ではなく、「等身大の37坪で、4人家族が本気で快適に暮らすリアルな住まい」です。
真夏の最も暑い日でも、真冬の最も冷え込む朝でも大歓迎です。
スリッパを脱いで無垢床の心地よさを感じながら、エアコン1台だけで家中が満たされる心地よさを、ぜひご家族みなさんでご体感ください。


